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4−3 民間企業の事例

 

CALSの取り組みにおいては、民間企業は行政機関よりも先行していると一般に考えられている。それらの取り組みは、企業、業界、協議会や組合など、様々な分野において行われている。

ここでは、その中で代表的なものとして、VE2006、電子新聞、電子起票・決済システムの事例を紹介したいと思う。VE2006は多くの企業が参加している日本における代表的な実証実験、電子新聞は新聞記事におけるSGMLの効果的な活用事例、電子起票・決裁システムはセキュリティを整備して電子決裁を組織的に活用している事例である。

 

4−3−1 VE2006の事例

 

VE2006は民間企業で構成されるCALS推進協議会が中心となって進めている実証実験である。全ライフサイクルを通してCALSの技術を活用することにより、複数企業があたかも一つの企業体のように動くものである。

 

「VE2006」とは、VEがVirtual Enterprise(仮想企業)の略で、CALSの実現によって一つの製品に関わる多くの企業があたかも一つの企業体のように動くことを示した言葉である。2006は、そのような産業構造の変革が10年以内(すなわち2006年)に到来することを期待したものである。

VE2006は、民間企業約150社が参加しているCALS推進協議会が中心となって行っている。毎年シナリオを設定して、製品のライフサイクル全体に関わる業務を全てCALSで行うという実験である。

1996年のシナリオは、建設土木事業で、長野県の橋の改修であった。ここでの目的は、計画・調査、設計、施工、進捗管理、維持管理といった、各段階の発注及び実施に関する情報を切れ目なく連携させることと、道路の建設・運用の全ライフサイクルを1つの情報モデルとして構築し、個々の情報を共有・管理することである。

各業務フェーズの概要は表4−3に示す通りである。

 

 

 

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